ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーを読んだ感想

書評

本書の著者であるブレイディみかこさんは日本出身(イエロー)で英国のブライトンという街に20年以上前からアイルランド出身の旦那さん(ホワイト)と暮らしています。

息子さんが生まれてからは3人暮らしになって本書のタイトル「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の通り息子さんの中学校生活の最初の1年半での出来事を描いたもので、英国での人種差別や階級差別などについて描かれていますがイエローでホワイトな子どもがブルーである必要なんかない。

色があるとすれば「未熟」とか「経験が足りない」という意味のグリーンであるという中学生の息子さんの成長を描いた本書は同年代のお子さんをお持ちの方におすすめです。

ランキング1位の小学校から元底辺中学校へ

英国では公立でも保護者が子どもが通う小中学校を選ぶことができるそうです。

息子さんは市の学校ランキングで1位の公立カトリック小学校に通っていてそこの卒業生はほぼ100%カトリック中学校に入学します。

そこもまた市のランキングで1位をとるエリート学校なのですが息子さんは近所の元底辺中学校に進学することを選びます。

そこはもともと「ホワイト・トラッシュ(白い屑)」という差別用語で表現される白人労働者階級の子どもたちが通う中学校でした。

一昔前までは学校ランキングの底辺にいたそうですが現在ではランキングの真ん中あたりまで浮上しているそうです。

著者のブレイディみかこさんは息子さんと一緒に見学会に行ってすごく気に入った様ですがあの学校に行けとは一言も言いませんでした。

でも、旦那さんはすごく反対していました。

その理由は

生徒の9割以上は白人英国人で顔が東洋人よりの息子さんはいじめられるのではないかという心配によるものでこの心配は子をもつ親としてはすごく分かります。(カトリック校は人種の多様性があり南米やアフリカ系、フィリピン、欧州大陸からのカトリックの移民が子どもを通わせているし、近年移民の生徒の割合は上昇の一途をたどっているそうです。)

自分で元底辺中学校に入学することを決めた息子さんですが親の心配をよそにすぐに新しい友達ができたり、複数のクラブを掛け持ちしたり学校生活をエンジョイしていたようなので良かったです。

英国の教育現場の実情

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーを読んだ感想

2010年に政権を握った保守党が緊縮財政政策を始めてから教育への財政支出 毎年カットされ続けていて平均年収の60%以下の所得の家庭で暮らす子どもの数が410万人にもなっています。

これは英国の子どもの実に3分の1が貧困層で暮らしいる計算になります。

制服を買えない生徒さんも大勢いて大きい制服を買えなくてつんつるてんの制服を着ている子や制服が1着しかないので洗濯して乾いていないびしょびしょの制服を着ていかなければならない子もいます。

小学生くらいまでならお金がなくて買えない

っていえるけど中学生になると一生懸命に隠そうとします。

だから、おへそが見えそうになったポロシャツを来ている子にそっと新品を買って渡したり、ファスナーが閉まらなくなってるスカートを毎日履いてくる子にお金をあげたり教員が自分でやり始めたそうです。

制服だけではなくて 女性の教員の中には生理用品を大量に買って女生徒に配っ たり、私服を持って いないから私服参加の学校行事に必ず休む子にスーパーでシャツとジーンズを買ってあげたりすることもあるそうです。

さらにはお金がなくて給食を買うことができない子に食べさせてあげたり公営住宅地の中学に勤める教員たちは週に最低でも10ポンドはそういう子たちに何か食べさせるために使っているそうです。

完全に教員の仕事の範疇を超えています。

このエピソードは英国の教育現場の現状や貧富の差が大きくなっていることを如実に表しているなと感じました。

この本の中で特に印象に残っている言葉を以下に引用します。

「貧困って、周囲に似たような人たちがいる貧困よりも、自分だけが貧乏な貧困のほうが本人には苦しい。

お腹がすいているとき、他の子たちも同じ境遇だったら口に出して言えるけど、自分だけだったら言えなくなる。」

文中のミセス・パープルの言葉より

たしかにその通りだなと思いました。

もう一つの気になるエピソードは日本での出来事

著者が帰省するたびに行っている日本料理屋さんでの出来事。

お父さんと息子さんの3人で料理を楽しんでいるとスーツ姿の中年男性が部下らしい2人の若い男性を従えてお店に入ってきた時のエピソードが気になりました。

中年男性は酔っぱらって息子さんに「YOUは何しに日本へ?」としつこくからんで(息子さんは英語オンリーです)母親である著者に対して

「なんで日本語を教えないんだ?英語を教えて日本語を教えないのは日本に失礼だろうが」

というようなからみ方をしてきたそうです。

さらにおおきなくしゃみをしたあとに

「中国がPM2.5を飛ばしてくる。あいつらはよその国の迷惑なんか考えん。観光のマナーも悪ければ商業のマナーも悪い。あいつらには日本人のような繊細な心配りもない。そんな国の企業に売り上げで負けるのはお前ら若いもんがしっかりせんからだ。」

と言って若い部下の頭を小突いたとありましたが全部自分自身のことを言っていると気づかないのかなぁと思いますよね。

あとで息子さんがあのおじさんはなんて言っていたの?と聞いたときに

「酔っぱらい過ぎて呂律が回ってなくて聞き取れなかったよ」と言ってごまかしたそうで

PM2.5が飛んでいることより日本経済が中国に抜かれることより自分が生まれた国の人が言った言葉を息子に訳してあげられないことのほうがわたしにはよっぽど悲しかった。

まさにそのとおりでいくら酔っているとはいえ人の迷惑を考えないオヤジにはなりたくないなと思います。

まとめ

他にも英国での格差社会や中学校の友達のいじめ問題などさまざまなエピソードが書かれていて思春期の少年の成長が親目線で描かれている本書は同じ年代の子をもつ方や僕のようにこれから思春期になっていく子を持つ方におすすめの一冊です。

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